配偶者の老齢基礎年金を繰り下げて年金収入を増やそう!
本記事のまとめ
公的年金は終身で受け取れる老後資金の柱で、何歳から受給するかは重要な戦略です。
本記事では受給繰下げによる年金総額、税金・社会保険料を分析し最適解を探ります。
まとめは下記です。
- 平均余命までに受け取る年金総額は繰下げ年齢74歳まで増加する
- 配偶者の繰下げは税金・国民健康保険料が増えない
- 配偶者の老齢基礎年金繰下げは生命保険の役割も果たす
配偶者の老齢基礎年金の繰下げは効果的に年金収入を増やします。
まだ受給を開始していない方はぜひ繰下げを検討しましょう。
平均余命までに受け取る年金総額は繰下げ年齢74歳まで増加する
公的年金の受給開始年齢は65歳ですが、受給を65歳から1ヶ月遅らせるごとに年金額は0.7%増額します。
受給開始年齢ごとの平均余命までに受け取る年金総額を下記グラフに示します。(詳細は補足記事1参照)
イメージ図:受給開始年齢ごとの年金総額と増額(老齢基礎年金・女性)当社作成
年金総額は74歳がピークになります。
年金総額の増加は繰下げ1年目が最も大きく、2年目以降は徐々に低下します。
繰下げ年齢は増加額だけでなく下記の税金・社会保険料、生命保険の役割やあなたの資産状況も併せて検討が必要です。
配偶者の繰下げは税金・国民健康保険料が増えない
繰下げで年金収入が増えると、通常は税金・社会保険料も増えるため手取り収入は年金収入が増えたほどは増えません。
ただし、収入が年金収入のみで153万円以下の場合、下記グラフのように住民税は課税されません。
イメージ図:年金収入に対する住民税・当社作成
住民税だけでなく所得税も課税されず、国民健康保険料も増えません。(詳細は補足記事2参照)
配偶者の繰下げによる増額は年金収入153万円までにすると良いでしょう。
配偶者の老齢基礎年金繰下げは生命保険の役割も果たす
配偶者が女性で年下の場合、あなたが亡くなった後の配偶者の収入の確保も重要です。
残された配偶者の収入は、あなたの老齢厚生年金の75%の遺族厚生年金と配偶者の老齢基礎年金だけになります。
その結果、平均的な会社員の世帯収入は下記グラフのように307万円から148万円に大きく減少します。(詳細は補足記事3参照)
イメージ図:厚労省「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」を基に当社作成
配偶者1人の生活費はあなたの亡くなる前の生活費の60%程度(184万円)なので148万円の収入では赤字になります。
老齢基礎年金を75歳まで繰下げると配偶者の収入を204万円まで増やすことができます。
しかも遺族厚生年金は課税対象外なので税金も国民健康保険料も増えることはありません。