配偶者の老齢基礎年金を繰り下げて年金収入を増やそう!
(補足記事3)配偶者の老齢厚生年金繰下げは生命保険の役割も果たす
この記事のまとめ
夫婦健在時の世帯年金収入と比較して 本人死亡後の収入は大幅に減るので対策を考えておくことが重要です。
- 本人死亡後に世帯年金収入は半分以下に減少する
- 本人死亡後の年金収入を増やす方法として、配偶者老齢基礎年金の繰り下げが最も効果的
夫婦健在時の世帯年金収入
夫婦とも健在時の世帯年金収入は、本人の企業年金・老齢基礎年金・老齢厚生年金、配偶者の老齢基礎年金・老齢厚生年金です。
あなたに万が一のことがあった場合、それぞれの年金がどうなるかを確認してみましょう。
本人の企業年金
一般的に企業年金は終身年金、一時金、その組み合わせで受け取ることができます。
終身年金として受け取るのが有利な場合が多いので、ほとんどの方は終身年金を選んでいます。
終身年金の保証期間が残っている間に本人が亡くなられた場合は、残金が配偶者に支払われますが、保証期間後に本人が亡くなると、企業年金は停止されます。
本人の老齢基礎年金
本人死亡時に18歳到達年度の末日までの子がいる場合は、遺族基礎年金78万円が配偶者に支給されますが、それ以外は本人死亡により老齢基礎年金は停止されます。
本人の老齢厚生年金
本人死亡後、下記2つの額を比較し高いほうが遺族厚生年金の額になります。
本人の老齢厚生年金の3/4の額
本人の老齢厚生年金の1/2と配偶者の老齢厚生年金の1/2を合計した額
一般的には1.の受給金額が多いので1.を選択します。
配偶者の老齢基礎年金
本人死亡による影響はありません。
年金受給開始を65歳よりも繰り下げると1月あたり0.7%年金が増額されます。
イメージ図:老齢基礎年金繰下げ効果・当社作成
配偶者の老齢厚生年金
遺族厚生年金と配偶者の老齢厚生年金の併給調整があります。
遺族厚生年金の方が多い場合は遺族厚生年金を選択するので、配偶者の老齢厚生年金はもらえなくなります。
本人死亡前後の世帯年金収入
平均的な会社員の本人死亡前後の世帯年金収入は下図のようになります。
イメージ図:厚労省「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」を基に当社作成
本人死亡前307万円/年の年金収入は、本人死亡後148万円と半分以下になります。
本人死亡後の配偶者の年金収入を増やす方法
遺族厚生年金は本人65歳の受給額の3/4です。
本人が老齢厚生年金を繰下げしていても遺族厚生年金は増えないのでご注意ください。
一方、配偶者の老齢基礎年金は65歳以降1月繰下げるごとに0.7%増額されます。
70歳、75歳まで繰下げると下図のように、残された配偶者の年金収入を増やすことができます。
イメージ図:配偶者老齢基礎年金繰下げ効果・当社作成
遺族厚生年金は非課税です。
従って配偶者の老齢基礎年金が153万円以下ならば、所得税・住民税はゼロで、国民健康保険料は増えません。